第二回 ”凡庸”という最大の武器を手に入れた男
今回紹介するのは・・・
【マイク・ビドロ】
皆さんは他人には無い自分の”強み”は持っていますか?
誰よりも早く走れるとか、計算が早いとか、絵が上手とか。
彼は現代美術の世界で誰もやったことのない斬新な作風を求めて
考えつく限りのことを試しました。しかし、そのどれもが誰かの二番煎じに過ぎず、
ずっと悩み続けました。
そんな試行錯誤の日々の中で彼は自分が”凡庸な人間”であることを知ります。
そしてまた考えます。”凡庸だからこそできることはないか”と。
そして答えを見つけます。 と、ここで一旦作品紹介に移ります。
紹介する作品は・・・
1984年
キャンバス/アクリル・シルクスクリーン 95.9 x 90.8 cm
皆さん、この作品に見覚えはないですか?
そうです。アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」です。
ですが、これはウォーホルの作品ではないのです。
そう、これこそ今回私が紹介したいマイク・ビドロの作品なのです。
上の作品には「NOT WARHOL」とタイトルが付けられています。
自分のことを”凡庸”と認めた彼が辿り着いた作風は”他人の作品を完璧に模倣する”ということでした。
この作品の一番の面白さは、
”イメージとしてはウォーホルだが物質としては別物” ということ。
だから作品のタイトルが「NOT WARHOL」なのです。
この作風は世間で物議を醸しました。
「盗作だ」「犯罪だ」などの意見もありましたが、今では
鉄壁のシュミレーショニストとして注目を集めています。
皆さんは彼の作品から何を感じますか?
ではまた。